2018/08/21

心理的アプローチでリスクを飼いならす

b4780bca3b50406e32dd6ebdef1f7805_s.jpg 

実質的に同じことであっても、考え方によって違うように受け取れたりすることがあります。


これは良い面もあり悪い面もあります。


インデックス投資の唯一のコツは「絶対に手放さないこと」でありますから、そちらの方向に活かせる心理的アプローチの方法を考えてみました。



トータルリターン表記にすると、配当収入のことを忘れてしまう

まず原則として、投資のリターンはキャピタル(資産の値上がり)+インカム(配当や利息収入)の総和です。ですから本当はトータルのリターンで評価すべきです。とはいえ、めまぐるしく動くキャピタルゲインと、必ずプラスとなるインカムゲインを分けて考えることは心理面で有利に働くこともあります。

さて資産価値の増減は大抵の場合インカムゲインよりも大きいため、往々にして値動きによってそのインカムゲイン分のリターンが飲み込まれてしまいがちです。

すると、分配金を出さないインデックスファンドの場合、単に値下がりしたように見えるのです。これはリターンを正しく認識できているのですが、株価が下がれば下がるのだから意味がないとか、配当再投資はリスクが増えるだけといったネガティブな認識をしてしまいがちです、

これがETFや個別株ですと、手元に配当収入が残りますから、値下がりをあまり大きく評価しなくなりがちです。これは悪く言えば、リスクやリターンの正しい姿を認識できていないと言えるかもしれませんが、キャピタルとインカムを分けて考えることで、リスクのあるものを切り離して、確実なリターンは積み重なっているという「前向きな勘違い」によって握力を増強することができるかもしれません。

ニワトリが太ろうが痩せようが関係なく卵は生み続けてくれるし、運が良ければニワトリが高く売れることもあるということですね。配当重視のポートフォリオを組んでいる人やETFを好む人、そもそも資産を売却するつもりがない人にはこの考え方をしている人が多そうです。


複数のものを一つにまとめてしまうと、一つのものとして考えてしまう

たとえばインデックスファンドは無数の株式の集合体ですが、一つにまとめてしまったおかげで、まるで一つのリスク資産であるかのように感じることができるために、特定の一社やセクターに関わる情報に惑わされずに済むわけです。これは勘違いが良い方向に働いていると言えます。

さて、デメリットについてはバランスファンドで顕著です。株式と債券(ここでは債券を比較的安全な資産として考えます)をひとまとめにして、一つの基準価額という数字で表してしまうと、(中身は複数であるにも関わらず)一つのリスク資産として認識していまいがちです。

例を挙げましょう。株式とキャッシュを50:50で持つバランスファンドと、株式100%のファンドがあるとしましょう。バランスファンドに毎月10万円積み立てるのと、株式ファンドに5万、貯金に5万積み立てるのとではトータルの値動きは全く同じです。しかし、バランスファンドを選ぶ人の多くは、バランスファンドには100%投資せず一部をキャッシュとして残しておきたがります。人によってはバランスファンドに5万、キャッシュに5万と振り分けてしまったりします。

これは、株式とキャッシュをまとめてしまったことで、バランスファンドがひとつの「リスク資産」として認識されてしまったということを示しています。その結果、リスク資産と安全資産とのバランスを取ろうとしてしまいます。これはリスクを正しく認識できていないと言えますが、バランスファンドにはこういった心理面での弱点があるともいえるでしょう。

つまりこのような勘違いによって本来取れるはずのリスクが取れなくなる可能性があります。リスクを正しく認識するためには、株式と債券またはキャッシュをそれぞれ単体の資産として保有し、自力でバランスを取る運用をした方が良いかもしれません。

それは面倒だという人には、松井証券の投信工房なら指定した通りの配分でファンドを積み立て・リバランスしてくれますし、それぞれ幾ら持っていてどの程度の損益が出ているかもみられるようになっています(ただしつみたてNISAには非対応)


自動より自分でやったほうが納得がいきやすい

これもバランスファンドに関するデメリットです。バランスファンドはファンド側で自動的に資産バランスを保ってくれるという非常に手軽な分散投資の手段です。しかし、これも評価額というたったひとつの数値でトータルの資産価値を表記してしまうために、内部で何が起きているのかわからないという心理的な問題があります。

これも例を挙げましょう。株式とキャッシュが50:50のバランスファンドと、株式100%のファンドとキャッシュを同額持つ運用ではトータルの値動きは全く同じです。これをそれぞれ100万保有していると考えます。

ではここで大きな下落があり株式の価格が半分になったとしましょう。自前で運用する場合株式の保有額は50万→25万になりますが、キャッシュは減っていないので50万のままです。バランスを取るためにキャッシュから株式に回してバランスを戻すと株式とキャッシュはそれぞれ37.5万になります。リバランスしたという感覚があるため株を安く買えてなんだか得した気がしますが、総資産額が75万に減っていることには変わりありません。

これがバランスファンドですと、自分からは何もアクションを起こしたわけではないのにバランスファンドの基準価額が下がり、100万から75万に減っているように見えます。これが「バランスファンドは下がる時には下がるから無意味」という勘違いの原因です。しかし中身は株式37.5万、キャッシュ37.5万とリバランスされているので本当は同じはずです。

この勘違いによりバランスファンドが下落した時に、資産形成用とは別のところから持ってきたキャッシュを追加投入してヨシヨシ安く仕込めた、とニンマリしてしまう現象が発生してしまいますが、キャッシュも同時に増やしてしまっているため効率が悪く、これは単に予算オーバーというやつです。

逆に株式が大きく伸びてリバランスが必要というシチュエーションにおいても、自力で行う場合は株式を売却して利益を確定しキャッシュへ退避させたという満足感が強いため、かなり安心できるということを実際に聞きました。(ただし課税口座の場合です。非課税口座ですと売却はもったいないという思いが強くなり逆にリスクとなる場合があります)

バランスファンドでは流入資金を利用して、かなり頻繁にリバランスを行いますので、利益を確定したという感覚ははっきり言ってゼロです。これが「バランスファンドは初心者向けではない」と言われる所以です。内部で何をやっているかわかっている人にこそバランスファンドが向いているのかもしれません。

「自動でやってくれて便利!」と感じるか、「どうせ同じなら自分でやった方がお買い得感がある」と感じるかによって、心理的アプローチからの最適な商品選もしくは運用方法というのが変わってくると思います。うまく利用して自分に有利な方を選択しましょう。


心地よく続けられる方法こそが最適

ここで挙げた方法は必ずしも、合理的な選択とは言えないものも混じっていると思います。しかし人間そこまで意志が強くはないので、わかっていても理想の通り行動できないものです。

インデックス投資の場合、何はともあれがっちりホールドして手放さなければほぼ勝ちは決まったも同然ですから、これが理論上最高の効率というのを追求するよりも、より心地よく投資を継続できる方法を選択するというのが現実的な攻略法になるかと思います。
関連記事

応援よろしくお願いいたします。こちらから他の方のブログも見ることができます
にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ 積立投資へ

コメント

非公開コメント